火星深青

日常の想いとか趣味の模型とか

基礎を学びたいときの『しっかり!まとまった!文章を書く』を読む。

しっかり! まとまった! 文章を書く

しっかり! まとまった! 文章を書く

 

  俺は今まで文章について自主的に勉強をしたことは無かったし、話し言葉として相手に伝わればいいと思って文字を並べてきた。だけど去年から自分のブログや外のサイトへの寄稿など、文章を書く機会が増えてきたので自分の力不足が気になり始めた。

 

 自分のブログを小さく続けていく分には適当でも構わないのかもしれないが、大勢の人の目の前に立つ寄稿先では、勿論最低限恥ずかしくない文章を書きたいと思っている。そこで、初めて文章の書き方に関する参考書のようなものを買ってみたのである。

 

 「しっかり!まとまった!文章を書く」。作者は前田安正さんという、朝日新聞に勤めている人らしい。これはKindle版だったので、スマホアプリから通勤時間や休み時間に読み進めた。

 

 まず第一章は文章を書く人なら知っていて当たり前の「5W1Hを意識して書こう」というお話。うむ、勿論、俺もそのくらいの知識はある。義務教育の英語の授業で習うものな。

 

 つまり「いつ(When)・どこで(Where)・だれが(Who)・何を(What)・なぜ(Why)・どのように(How)/どうした」の話である。

 

 で、次に例文が出てくる。例文「猫を見た」。この短い文章に足りない要素を一つずつ肉付けしていく。

 「昨日、猫を見た。」「昨日、飲み屋街の路地で猫を見た。」「昨日、双眼鏡を使って、飲み屋街の路地で猫を見た」。と、ここまでは文章が苦手な人でもなんとか書けるのだが、5番目のWである「なぜ」が無い場合が多いらしい。

 

 なぜ、どうしてという要素は、その理由や原因を書き加えていけばいい。つまり、なぜあなたはその猫を見たのか、その理由を書き加える。例文では、「その界隈の雑然とした雰囲気とはかけ離れていて、目を奪われたのだった。」と続く。

 

 そうすると、次に雰囲気がかけ離れていたのはなぜ?という、次の「なぜ」が出てくるので、今度は猫の印象について詳しく説明する。簡単に説明すると例文では次に「高貴な雰囲気を漂わせていたから」と理由を説明している。

 するとまた「なぜ」が生まれた。次の改善分では、高貴な雰囲気を漂わせていた理由について「猫は青みがかった淡いグレーの毛に覆われ、目がエメラルドグリーンだったから」と述べている。

 

 こうして「昨日、猫を見た。」という短い文章は、100字程度のまとまった文章になった。相手の疑問に先回りする形で、「なぜ」を埋めていくと、いつの間にか読み手にも伝わりやすい文章が一つできているのだ。

 結構当たり前のことが書いてあったのだけど、こうして例文がずんずんと大きく膨らんでいく様子は、読んでいてとても面白かった。また、それそれの行動の理由を明らかにすることによって、読み手に生じる疑問が解消されるので、スイスイと読みやすい文章にもなっていった。

 

 文章は、相手と面と向かって話す状況と違っている。相手もこれは理解しているだろうという認識を捨てて、自分の見たことや感じたこと、その理由や原因を付け足していくことが基本みたいだ。まぁ、言われてみればそれはそうだよなあという感じである。

 

 第一章から中々面白かったので、そのあとも全部読んでしまった。大学生の時、履歴書に何を書いたらいいのか分からず困っていた時、これを読んでいれば苦労は半分になったんじゃないかなぁと、当時の苦しみをニガニガしく思い返していた。

 

 この本で書かれていたことは、ブログでもなんでも使えるだろう。ただ、下手をこかない無難な文章はカバーできるかもしれないけれど、読み手を引き付けるキャッチ―なテクニックなどは載っていない。そういうのが欲しくなった時は、また別の本をまた読んでみたいと思う。

 

 そして、模型も文章も、カッチリした型があるようで実はグニャングニャン自由自在なところが面白いよな。実験のし甲斐があるというか、弄り倒す楽しみがあるというか。そういうフィールドが用意されていて、さあ!好きにしていいぞ!みたいな自由が大好きだ。

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哀愁の町に霧が降るのだ (上) (小学館文庫)

哀愁の町に霧が降るのだ (上) (小学館文庫)

  • 作者:椎名 誠
  • 発売日: 2014/08/05
  • メディア: 文庫
 

  俺の日常に伸びしろがあるとすれば、この文字を書く事、何かを作る事だけだ。