酒とパピコ
ウイスキーにはそんなに詳しくない。興味本位でたまに飲む。時々飲みたい気分になる。味が欲しくなったというよりは、飲んでいるシーンが欲しくなったというべきか。メタ視点からの欲求。
ソファーに移動して、グラスを片手に、読書でもするか。ふふふ、すてきな土曜日の夜。の予定。
くいと飲むと、少しワンテンポ置いた後に、舌先に複雑な甘味を感じた。冷たいのに、喉を通るとカーッと熱い。ウイスキーはこれが不思議だ。しかも癖になる。うむ、味は、いや、こういうのは味ではなく殆ど樽の香りだとネットで聞き齧ったけど、その辺りはよくわからない。
台所から戻ってきた妻が、ラスイチのパピコをおいしそうに食べていた。俺は横目でそれを見ていた。「すこし、ください」と俺は云った。「あなたはもう、食べました」と、妻は云った。テレビでは、お菓子メーカーの男が涙を流していた。